久保研究室:慶應義塾大学システムエレクトロニクス研究室

KSEL

現代社会では豊かな生活と持続可能な社会の両立が求められています。当研究室では、人と環境にやさしい社会インフラサービスの実現を目指し、制御工学と情報通信工学を基盤としたシステムエレクトロニクス技術の研究を行っています。人やモノの動作を検知する「計測技術」、計測情報を元に人やモノを動かす「制御技術」、計測情報および制御情報を伝送する「ネットワーク技術」により、社会システム全体のスマート化(低炭素化、高効率化、高機能化)を実現します。


エレクトロニクスを基盤としたシステム化技術『システムエレクトロニクス』

エレクトロニクスは、電力工学と融合したパワーエレクトロニクス分野や機械工学と融合したメカトロニクス分野など、時代とともに様々な領域と結びつき、新たな学問分野を形成してきました。近年は多種多様なシステムがネットワーク化されるようになり、異分野システムの統合を扱うシステムエレクトロニクス技術の重要性が認識されています。当研究室では、システムエレクトロニクス分野の諸課題に対して、制御工学と情報通信工学の両面からアプローチを行っています。




人と環境にやさしい社会インフラサービス『スマートコミュニティ』

スマートコミュニティは電力、情報、交通、人など社会を形成するあらゆる要素が相互に連携した次世代の社会インフラサービスを指しています。スマートコミュニティが実現できれば、住民に対するサービスの向上や環境負荷の低減などが期待できますが、既存のインフラサービスはそれぞれ独立して設計されているため、相互に連携させることが困難です。当研究室では、様々なインフラシステムを巨大なセンサ・アクチュエータネットワークとして統合的に捉え、人と環境にやさしいスマートコミュニティを実現するための計測技術、制御技術、ネットワーク技術の研究を行っています。




ネットワーク化制御システムにおける制御工学と情報通信工学の融合

通信ネットワークを介した遠隔制御システムであるネットワーク化制御システム(NCS:Networked Control System)では、通信ネットワークにおける遅延、パケット損失、帯域制限などの通信品質がシステムの安定性や性能を左右します。また、通信ネットワークにつながることによるサイバー攻撃の脅威が懸念されます。アプリケーション制御(Control over Networks)とネットワーク制御(Control of Networks)を有機的に連携させることにより、ネットワーク化制御システム全体の最適化を実現します。



ネットワーク化された自動運転車両の協調制御技術に関する研究

自動運転車両の協調型車間距離制御(CACC:Cooperative Adaptive Cruise Control)システムでは、無線通信を利用して前方車両から加速度情報を受け取り、各種センサ情報と合わせて自車両の制御を行うことで所望の車間距離を維持します。CACCは効率的な道路交通システムや省エネルギーな走行制御を実現するために必要不可欠な技術です。


無人航空機(ドローン)の無線ネットワーク化制御技術に関する研究

ドローンでは自律飛行制御に加えて、遠隔制御による操縦が必要となる場合があります。遠隔制御では無線通信品質の影響を受けるため、通信品質を考慮したドローン制御技術が必要とされます。ドローンの遠隔制御は荷物搬送や空撮など様々なアプリケーションでの活用が期待されています。


IoT制御向けネットワーク技術に関する研究

IoT(Internet of Things)端末を利用した計測制御アプリケーションでは、高信頼かつ低遅延の有線・無線ネットワークが必要とされています。ロボット制御ネットワークや車載ネットワークへの活用が期待されており、バッテリ駆動を考慮した省エネルギーな計測制御技術の研究開発も重要となっています。